豚皮

読み方
ぶたがわ
英語
Pig skin

意味

ブタの皮。世界各国で飼育されているブタの品種は100余種以上である。主な品種としてヨーロッパ種(ランドレース、大ヨークシャ種、バークシャ種など)、アメリカ種(ポーランド、チャイナー、ハンプシャー、チェスター、ホワイトなど)、アジア地帯の種(中国ブタ、台湾ブタ、琉球ブタなど)がある。豚皮の最大の特徴は、毛(剛毛)が3本ずつまとまって全皮厚(銀面から肉面)を貫通している。このため毛穴由来の凹凸が多い銀面模様を示す。表皮が皮全体の1~3%を占めて毛根の末端が皮下組織に達しているために、豚皮は網様層を欠いた乳頭層だけからなっているといえる。バット部は線維束が太く、走行角度も大きく充実して密度が高い。ほかの部位に比べて組織が密なため硬くなりがちで、均一な柔軟性が得にくい。しかし、組織を構成するコラーゲン線維は牛皮より細く、緻密である。このためバッフィングにより繊細な起毛の革が得られる。そのほかの部分は交絡程度と密度は劣る。銀面は凹凸が多く、大きな凸凹面にさらに小さな凹凸がある松かさの鱗片のようで、これが豚革特有の突起の多い銀面模様となっている。また、真皮は毛包や皮脂腺などが少ないので充実しているため、繊維の緻密さを活かして型押し革として、靴、鞄、時計バンド、また毛穴の通気性を生かして裏革、衣料革、手袋革などに利用される。

皮革用語辞典(社団法人 日本皮革産業連合会):2012年11月28日転載


豚の品種は、大きく分けてヨーロッパ種(ランドレース、大ヨークシャー、バークシャー、ハンプシャーなど)と中国種(金華豚、梅山豚など)などで、大きさに違いがある。豚皮は2~4個の単一毛包が集団になり、普通は3本の太くて長い剛毛が対をつくって皮の全層を貫通している。表皮が皮全体の1~3%を占めて毛根の末端が皮下組織に達しているために、豚皮は網状層を欠いた乳頭層だけからなっているといえる。したがって豚皮の毛包周囲を包む弾性線維が真皮全体に分布して毛包と毛包の間には少ない。銀面は凹凸が多く、大きな凸と凹面にさらに小さな凹凸がある松かさの鱗片のようで、これが豚特有の突起の多い銀面模様となっている。また、真皮は毛包や皮脂腺などが少ないので充実しており、これを構成する膠原線維も比較的粗大である。線維構造は、バット部が厚くて線維束が太く、走行角度も大きくて交絡し、充実して密度が濃い。その他の部位は、交絡と密度が劣っている。毛球の部分から下には脂肪細胞で満たされた袋状のものが皮下組織面に多量にある。さらに、成豚の脂肪は表皮や真皮など全層に散在している。

総合皮革科学(日本皮革技術協会)1998年:p5~p6より転載


組織学的にみて豚皮(Pig skin)の最大の特徴は、毛(剛毛)が3本ずつまとまって全皮厚を貫通していることである。このため銀面から肉面まで貫通した毛穴由来の空洞と凹凸の多い銀面をもつ革が得られる。組織を構成するコラーゲン繊維は牛皮よりはるかに細く、バフィングにより繊細な起毛の革が得られる。

皮革ハンドブック(日本皮革技術協会編)樹芸書房 2005年:P15より転載


豚 Sus scrofa var.domestica (L.)の皮。ピッグスキンともいう。豚皮は真皮表面の乳頭が発達しており、網状層はほとんどが脂肪細胞である。したがって豚皮は牛皮などと異なり乳頭層だけが革となり、革部を毛孔が貫くとともに、凹凸の激しい粗い銀面の革となる。バット部は他の部位に比べて組織が密なため硬くなりがちで、均一な柔軟性がえにくい。

Skin from Sus scrofa var.domestica (L.)Papilla on the top surface of pig skin corium is well developed and most of the reticular layer is occupied by fat cells. Therefore, only the papillary layer can be utilized as leather unlike cattle hide. Follicle mouth penetrates through the whole thickness of leather and the leather grain surface is coarse and uneven. The fiber structure is relatively dense and hard at the butt and causes a uneven softness of leather.

日英中皮革用語辞典(日本皮革技術協会・中国皮革工業協会共編)樹芸書房 2000年:0866Aより転載