染色

読み方
せんしょく
英語
Dyeing

意味

溶液から染料を革へ吸着させる着色方法。顔料とバインダーを使用する着色方法に比較して一般に透明感のある鮮明な色調が得られる。ドラム染色法、捺染法、スプレー染色法、剛毛染め法などの方法があるが、ドラム染色が広く採用されている。ドラムの回転により、均染性や染料の革へ浸透が促進される。染色革の色調とその堅牢性は使用する染料のみならず、革の鞣しの種類、再鞣などによって大きく影響される。毛皮の染色は、毛皮の耐水性や耐熱性が低いので革の染色とは異なる染色条件を用いる。

A coloring method for leather in which the dyestuff is taken up from the solution and combined to the leather. It produces a more transparent and brilliant color tone than the coloring method to use pigment and binder. There are several applications including drum dyeing, printing, spray dyeing, brush dyeing. Among them the drum dyeing is mainly adopted in leather dyeing. The rotation of drum promotes a uniform dyeing and the dyestuff penetration into leather tissue. The color tone and color fastness of dyed leather is significantly influenced by dyestuff used and also by the nature of tanning and retanning, etc. Fur material is low in water-resistance and thermal stability and hence a different dyeing condition from that for leather is adopted.

日英中皮革用語辞典(日本皮革技術協会・中国皮革工業協会共編)樹芸書房 2000年:0694Dより転載


物体の着色のために行われる作業。色材として染料を使用し、これを水などの溶媒に溶解した状態で適用し、かつ特別な結合剤(バインダー)を使用せずに被着色体に結合着色させる方法をいう。ほかの着色法(例えば塗料による)に比べ、鮮明で透明感のある色調が得られること、革の表面だけでなく組織の内部まで着色し得ること、個々の繊維をこう着させず風合いと表面の感触を変えないこと、銀面模様を覆いかくすことがないことなどの特色がある。一方、革の種類(特に鞣しの違い)と染料の組み合わせに適不適があり、注意して選択しなければならない。色調の調節(色合わせ)には熟練技術を要する。革の染色方法は革と染料液をドラム中で回転する方法(ドラム染色)が一般的であるが、パドル染色、スプレー染色も行われる。皮革染色の特徴は、革繊維の耐熱性や耐アルカリ性が木綿や化学繊維などの繊維素材より低いため、クロム鞣し革の場合、染色温度の上限は約60℃、また弱酸性から酸性浴中で染色する必要がある。革の厚みが比較的に大きいことから浸透染色させるための処理が必要になる。

皮革用語辞典(社団法人 日本皮革産業連合会):2012年11月28日転載


染色は水の存在下で革繊維と染料間で何らかの結合が生じて革が着色される現象である。染色を成功させるには、染色に先だって革の基質特性を調整することが必要であり、このためには均一な鞣し、中和、水洗の適切な管理が必須である。時にはあらかじめ脱脂、漂白が必要となる。次いで、浸透性、均染性、色濃度など染色特性や染色堅ろう特性に適合した染料を選択することが重要である。これらの条件を考慮して染色法を設定しなければならない。

総合皮革科学(日本皮革技術協会)1998年:p91より転載