ヤギ皮

読み方
やぎがわ
英語
Goat skin

意味

ヤギ(学名:Capra hircus)の皮。真皮層に占める乳頭層の弾性線維の発達がよく、その割合が大きく網状層が薄い。乳頭層中の諸器官は比較的少ないため毛は直毛で、背から尻の部分のコラーゲン線維は水平に走るものが多い。そのため銀面の摩耗性に優れた強じんな革となる。羊皮より充実した線維組織をもち、エラスチン線維が多いためやや硬く、銀面は特徴ある凹凸を示し、耐摩耗性に優れている。パキスタン、インドが主要生産国である。子山羊の革をキッドスキン、銀付きの薄いものをゴートスカイバーと呼んでいる。ゴートスキンは靴の甲革用、手袋用、衣料用、製本用、手芸用など広く利用されている。

皮革用語辞典(社団法人 日本皮革産業連合会):2012年11月28日転載


ヤギはアジアとアフリカの発展途上国では汎用家畜として飼育されており、種類も多くて皮がよく利用されている。第1毛包が三つの郡内に生じ、各群と連合した3~6個の第2毛包をもっている。乳頭層が占める割合は皮の厚さの1/2強で小牛皮に似ているが、小牛皮に比べて乳頭層の弾性繊維が多く、網状層の線維束が密度で交絡が少ない。弾性繊維は毛包と皮脂腺の周辺を囲んで銀面に平行に走行してよく交絡している。膠原繊維束は牛皮ほど走行角度が大きくなく、交絡の程度も少ない。線維束は準備工程で細かい線維に解けること弾性繊維の密度が濃いことと、繊維束の交絡が少ないことからヤギ皮の特徴である強じんで、柔軟、軽量である性状が生みだされる。

総合皮革科学(日本皮革技術協会)1998年:p6より転載


網状層の割合が小さく、皮厚は小さいが充実したコラーゲン繊維の組織をもち、銀面は摩耗性に優れた革となる。

皮革ハンドブック(日本皮革技術協会編)樹芸書房 2005年:P15より転載


ヤギ(山羊)Capra hircus の皮。真皮層に占める乳頭層の割合が大きく網状層が薄い。乳頭層中の諸腺は比較的少ないため毛は直毛で、背から尻の部分のコラーゲン線維は水平に走るものが多い。羊皮より充実した線維組織をもち、やや硬く、銀面は特徴ある凹凸を示し、耐摩擦性に優れている。パキスタン、インドが主要生産国である。子ヤギの革をキッドスキン、銀付きの薄いものをゴートスカイバーと呼んでいる。ゴートスキンは靴の甲革、手袋、衣料、製本用、手芸用など広く利用されている。

Goat, Capra hircus, skin has a relatively high proportion of papillary layer to reticular layer in the corium. As the population of various glands is small in the papillary layer the hair is mostly straight, and collagen fiber in a region from the back to the butt runs largely in the direction parallel to the surface. The skin has fuller and somewhat tougher fiber structure than that of sheep. The gain has a uniquely uneven pattern and exhibits a high abrasion resistance. Pakistan and India are major countries to produce goat skin. The full grain leather with a reduced thickness is called “goat skiver”. Goat skin is widely used for shoe upper, glove, clothing, book-binding, handicraft and the like.

日英中皮革用語辞典(日本皮革技術協会・中国皮革工業協会共編)樹芸書房 2000年:0459Aより転載